服従の心理

あまりに会社に従うので、勧められて読みました。

服従の心理

服従の心理


心理学を専攻する人からすれば有名な本だそうです。
簡単な実験を行い、人が如何に服従してしまうかを考察した内容で、
論文のような構成です。


行われた実験の方法は、
被験者と、実験者、学習者(被害者)を用意し、
被験者を「先生役」にして、学習者に単語を覚えさせます。
学習者が単語を間違えると、被験者は学習者に電撃を与えるスイッチを押します。
与える電撃は15〜450Vまで30段階。
# 実際学習者は電撃を受けておらず、そのような演技をするだけですが。


さて、貴方が被験者なら、何Vまで電撃を与えることが出来ますか?


450Vまで与える人は少ないと思われます。
が、しかし多くの被験者が450Vまで到達していました。


これは何故か?


実験者という「権威」に対して、被験者が服従するから
と、著者は結論づけています。


この服従は実験室だけに限られた事ではなく、
一般生活でも十分起こりうるものと考えられます。
例えば、軍で明らかに危険な任務を命じられても従ったり、
上司からやりたくない事を命じられてもその通りに行ったりなど…。
心当たりがありすぎて、悲しくなったり怖くなったりしましたw


著者の言葉をそのまま引用すれば以下。

命令が正当な権威からきていると感じる限り、かなりの部分の人々は、行動の悩みや良心の制約などにはとらわれることなく、命じられた通りのことをしてしまうのだ。


あと、本文中で引用されてた文が印象的だったので引用します。

文明とは何にも増して、無用な苦痛を課したがらないということを意味する。その定義の範囲で言えば、権威の命令を考えなしに受け入れる人は、いまだ文明人と名乗ることはできない。


服従することは、著者の考えでは「悪」に分類されているようですが、
現代社会を円滑に生きるのに、全く服従せずに快適に生きていけるでしょうか?
確かに盲目的に服従するのは良いとは言えないでしょうけど…。


服従」という事について、かなり考えさせられた一冊でした。
もう少しして、服従する側でなく、服従させる側に立てた時に読み返してみたいですね。